自社の判断基準をClaude Codeのスキルに渡す手順(手順書と例でつなぐ)
AIに頼むと一般論しか返ってこない、という人材紹介会社の経営者・CAマネージャー向けに、仕事の手順を手順書にし、判断基準と実例をつないでClaude Codeのスキルにする進め方と、作ったあとの更新のしかたを自社の運用のまま整理しました。
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この記事の要点
非エンジニアのメンバーがClaude Codeを触り始める日は、たいてい静かに始まります。アカウントを作り、画面を開き、何を打てばいいか分からないまま閉じる。最初の1週間をどう組むかで、その後が変わると考えています。
弊社は、社員2名とアシスタント、AIエージェントで人材紹介の事業を回しています。代表がClaude Codeで仕組みを作り、非エンジニアのメンバーは出てきた成果物を画面で使う形です。この記事は、その立ち上がりの1週間を手順にしたものです。
先に線引きを書きます。現場の全員がClaude Codeに慣れることを、ゴールにしていません。触るのは1〜2名で足ります。残りのメンバーが触るのは成果物のほうです。この前提があるかどうかで、1週間の設計がまるごと変わります。
アカウントは作った。黒い画面も開いた。それきり触っていない。そんな状態になっていないでしょうか。非エンジニアのCAが止まる場所は、だいたい次の3つに分かれます。
これまで教えてきた非エンジニアの方は、最初はほぼ全員が「黒い画面が不安」と言います。ところが1回触って慣れると、こちらも全員が同じ感想になります。やってみたら普通だった、という感想です。
つまり壁は知識量ではありません。やり慣れたやり方を変えるストレスです。人は現状維持をしたがります。必要なのは、知らないことを知る勇気を1回だけ出すことだと考えています。
生成AIで、メール文面も表計算の数式も速く作れるようになりました。ただ、速くなっても、それを使うかどうかの判断と、どんな形にするかを考える仕事は自分に残ります。
指示と修正を続けている限り、仕事の中心は自分のままです。最初の1週間の目的を「速くする」ではなく「任せられる形に近づける」に置き直すと、頼む内容そのものが変わります。
定着しない本当の原因は、恐怖心ではないと考えています。使わなくても仕事が回ることです。上司が使う前提で業務の流れを組み替えないと、1週間後には元のやり方に戻ります。
ですので、最初に話す相手は現場より先に経営者です。どの工程を置き換えるか、何を測るかを決めてから、1人目に触らせます。
| 工程 | 担当 | 内容 |
|---|---|---|
| 環境の用意と初期設定 | 人(1人目のみ) | 自分のパソコンに入れて1往復する。全員ではなく1〜2名に絞る |
| 情報の整理・下書き | AI・仕組み | 求人票の要点整理、面談メモの構造化、推薦コメントの下書き |
| 抜け漏れの検知 | AI・仕組み | 返信のないスカウトの洗い出し、未対応の選考の積み上げ |
| 判断基準の言語化 | 人 | 何を見て、どう判断しているかを言葉にする。ここは代行できない |
| 出力の手直し | 人 | 「自分ならこう書く」に直し、直した理由をナレッジに戻す |
| 候補者への連絡 | 人 | 下書きは仕組み、送信の確認は人。全自動にしない |
| 工程と評価への組み込み | 人(経営者) | 使わないと仕事が回らない状態を設計し、月1回数字を読む |
黒い画面が不安な人に、黒い画面を教える。これがいちばんコストが高く、成果が薄いやり方だと考えています。現場が触るのは成果物です。画面、表計算シート、チャットツールに届いた形で使えれば十分です。Claude Codeそのものを触るのは、社内の1〜2名で足ります。
エンジニアの知識が要るのでは、という不安もよく聞きます。プログラミング言語の知識も、クラウドの知識も、設計のセンスも要りません。実装はClaude Codeが行います。日本語の細かいニュアンスも通ります。分からないことが出てきたら「何が分からないのかが分からないので、教えて」と打てば、その一言で通じます。
一方で、候補者に届く手前は人に残します。下書きは仕組みが作り、送信の確認は人が行う。予約リンクを使わない候補者の日程調整も人が行う。そして、候補者本人がまだ言葉にできていない不安を掴む場面は渡せません。工程ごとの線引きはAIに任せる範囲と人が決める範囲にも整理しています。
自分のパソコンにClaude Codeを入れて、日本語で1つ頼み、返ってきたものを読む。初日はそれで終わりにします。会社の環境で使えなくても、手元の1台があれば試せます。
記録するのは、詰まった箇所と、そのとき打った言葉です。これが2人目以降の手引きになります。
よくある失敗は、環境を完璧に整えてから始めようとして、その週が終わることです。待ちの姿勢が、いまはいちばん損だと考えています。
自分の判断が入らない作業を1つ選んで渡します。求人票の要点整理、面談メモの構造化、未返信スカウトの洗い出しなど。情報を整理する、ルールどおりに処理する、漏れなく追いかける。この種類の作業から始めます。
見るのは、自分がやったときとの差です。粗さの種類をメモしておきます。
よくある失敗は、初日から候補者に届く文章を任せることです。読み手が人間の文章は、判断基準を渡す前は「それっぽいだけ」で終わります。
最初の一歩は、ツールの習熟ではなく自分の仕事の言語化です。3つに絞ります。面談で最初に何を聞くか。どういう候補者に、どの求人を推すか。お断りするとき、何と伝えるか。
きれいな文章にしなくて構いません。話し言葉のまま書き出して、整えるほうをClaude Codeに任せます。1テーマ1ファイルに分けておくと、あとで直す場所が分かります。
よくある失敗は、ナレッジを完成させてから使おうとすることです。3つで動かし、使いながら足すほうが速く進みます。
同じ作業を、言葉にした判断基準を読ませた状態でもう一度頼みます。作り始めの分身AIは、必ずどこかがズレています。方向性は合っているのに、言い回しが自分のものではない、という状態です。
見るのは、直した箇所の種類です。事実が違うのか、並べる順番が違うのか、語尾や言い回しが違うのか。種類によって、足す先のファイルが変わります。直した理由までナレッジに戻すと、翌日の出力が変わります。
よくある失敗は、出力が違うことをAIの性能のせいにすることです。足りないのは賢さではなく、自社の判断です。
着手から2週間以内に目に見える成果を1つ出す前提で、置き換える工程を1つ決めます。全工程を同時には変えません。翌週からその工程は必ず仕組みを通す、と決めるところまでやります。
見る数字は4つです。対象工程のうち仕組みを通った件数の割合、着手前との所要時間の差、自分で直せた回数、人に聞いた質問の数の推移。質問が減っていれば定着、増え続けていれば設計の見直しのサインです。
よくある失敗は、1週間の最後を「勉強になりました」で終えることです。業務の流れが変わっていなければ、翌週には元に戻ります。
本を読み、動画を見て、理解してから触ろうとする型です。正解が誰にも分かっていない領域なので、調べ切ることができません。「こんなことができるのか」と知ること自体が学びの第一歩です。1日目に1往復する、を先に置きます。
文面づくりが速くなった時点で満足してしまう型です。速くはなりますが、判断は自分に残り続けます。頼み方を「書いて」から「この基準で判断して、理由も添えて」に変えると、手元に残る仕事が変わります。
公平のために全員へ一斉に研修する型です。不安のある人にまとめて教えるのは、コストが高いわりに残りません。1名をペアで育てるほうが速く、こちらが抜けた後も続きます。弊社では週1回2時間・8週間を目安に、画面共有で一緒に回し、卒業条件を最初に決めています。
出力が自分っぽくないことを理由に、別のツールへ乗り換える型です。乗り換えても同じ結果になります。どの強みを一行目に置くか、どの懸念を先回りするか。そこに自社の判断が入っていないだけです。言葉になっていれば、載せる先はどのAIでも機能します。
作ったものが、現場の日常の道具に出ていない型です。チャットツールや表計算シート、いつも開く画面に届いていないと、見に行く手間のほうが勝ちます。出し先を先に決めてから作ります。
| 体制・フェーズ | 最初にやること | 注意点 |
|---|---|---|
| 少人数の紹介会社(1〜5名) | 経営者自身が1日目に触り、置き換える工程を1つ決める | 経営者が数字を見ないと、現場も見なくなる |
| 10〜20名規模の紹介会社 | 触る人を1〜2名に絞り、週1回2時間・8週間で育てる | 全員研修にしない。卒業条件を最初に決める |
| 事業会社の採用チーム | 成果物の置き場(画面・表計算シート・チャットツール)を先に決める | 面接担当と採用アシスタントを人に残し、全自動と書かない |
| 未経験メンバーで立ち上げる組織 | 定着の対象をツールではなく、面談・紹介の型に置く | AIを覚えること自体を目標にしない |
プログラミング言語の知識も、クラウドの知識も、設計のセンスも要りません。実装はClaude Codeが行います。エンジニア経験が少し有利に働くのは、黒い画面を見慣れていることと、問題の切り分けが指示出しに似ていること、この2点くらいです。分からないときは「何が分からないのかが分からないので、教えて」と日本語で打てば通じます。1回触ってしまえば、不安のほとんどは消えます。
候補者の情報を扱わない作業から始めるのが現実的です。求人票の要点整理、社内向け資料の下書き、自分の判断基準の言語化であれば、扱う情報を増やさずに進められます。仕事柄いろいろな会社の状況をうかがいますが、以前は難しかった企業でも、利用の壁は緩んできています。解禁されたときに1人目が決まっているかどうかで、立ち上がりの速さは変わると考えています。
覚えた機能の数ではなく、業務の流れが1つ変わったかで見ます。置き換える工程が1つ決まっている。その工程の判断基準が3つ言葉になっている。触る人が1名決まっている。この3つが揃っていれば十分です。そのうえで2週間以内に目に見える成果を1つ出し、利用率と質問数の推移を月1回読み合わせます。
まず記録していただきたいのは、1日目に詰まった箇所と、そのとき打った言葉の2つです。これが社内で2人目を立てるときの手引きになります。1人目をどこに置き、どの工程から差し込むかの設計は、AI活用の支援でも扱っています。
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