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Claude Codeの使い方

Claude Codeで人材紹介の業務を工程別に任せる全体像(スカウトからRA業務まで)

公開日:読了目安:約8分執筆:Staneer株式会社 代表取締役 渡邉 拓哉

この記事の要点

対象
人材紹介会社の経営者・事業責任者、CA/RAマネージャー、AI活用の全体像を描きたい採用担当の方
できるようになること
自社の工程ごとにAIへ渡す範囲と人が決める範囲を仕分けし、着手の順番を決められるようになります
必要なもの
自社の工程一覧、工程ごとの所要時間と件数のメモ、判断基準を言葉にできる担当者

推薦コメントはAIに書かせている。求人票の要約も頼んでいる。それでも現場の忙しさは去年と変わらない。そんな状態になっていないでしょうか。

自社は人材紹介会社です。社員2名とアシスタント、そしてAIエージェントで、年商1億円規模の事業を回しています。業務は Claude Code(Anthropic の開発ツール)で自作したエージェントに任せています。スカウトの追いかけ、SNS発信、求人マッチング、求人ごとの推薦コメント、選考支援、選考管理、RA(リクルーティングアドバイザー、企業側の担当)業務まで、ほぼ全工程に何かしらのエージェントが入っています。

ただ、ここに来るまでに遠回りをしました。単発で便利なものを作り、使われないまま放置する。これを何度も繰り返しました。この記事では、いま自社が工程ごとに何を任せ、どこを人が決めているのかを、地図の形で書きます。自社の実践として整理したものなので、同じ構成が唯一の正解だとは考えていません。

なぜ工程別のAI活用が点で止まるのか(3つの理由)

理由1:速くはなったが、品質が変わらないから

素のAIに「推薦文を書いて」と頼むと、それらしい文章は返ってきます。速さは確かに上がります。ただ、どの強みを先頭に置くか、どの懸念を先に潰すか。そこに自社の判断が入っていません。

結果、出力は常に人のチェック待ちになります。下書き装置の域を出ないので、工程全体の時間はあまり減りません。足りないのはAIの賢さではないと考えています。足りないのは「自社で一番成果を出している人が、何を見て、どう判断しているか」という情報です。

理由2:工程の切れ目で人が詰まるから

1つの工程が便利になっても、前後の受け渡しが手作業だと詰まります。面談メモを探して貼る。出てきた文章を管理システムに入力する。チャットツールに共有する。この手渡しが残っていると、工程の時短は運搬の手間で消えます。

自社では「登録まで」「共有まで」をエージェントにやらせる形へ寄せました。出力を人が運ぶ設計は、だいたい続かないと考えています。

理由3:運用の形まで決めていないから

作って終わりのエージェントは、まず使われません。いつ動かすか、誰が入力するか、出力をどこに置くか、誰がレビューするか、いつ中身を直すか。ここを決めなかった初期のものは、きれいに放置されました。

実装とは、運用の形を決めるところまでだと考えています。

仕組みに任せる範囲と、人が決める範囲

工程 担当 内容
候補者獲得(スカウトの追いかけ) AI・仕組み 返信待ちの滞留を検知し、1回目・2回目のリマインド文を用意する。追いかけ漏れをなくす
候補者獲得(SNS発信) AI・仕組み 社内ナレッジを読み、媒体ごとの特性に合わせた投稿を作り、予約投稿まで通す
初回面談前 AI・仕組み 経歴と事前アンケートから、転職理由・温度感・希望条件の仮説と質問案を作る
初回面談 人 本人もまだ言葉にできていない軸を一緒に掘る。どの問いで本音に近づくかを見る
求人マッチング(探す) AI・仕組み 面談メモと職務経歴書から軸を読み、提携求人プラットフォームを横断して候補を並べる(自社では検証中)
求人マッチング(選ぶ) 人 並んだ求人のうち、誰に何を出すか、何を出さないかを決める
求人紹介(推薦コメント) AI・仕組み 紹介中の求人1件ずつに「なぜ合うか」の一言とオススメ度の案を書き、システム登録まで実行する
選考支援(選考ポイント) AI・仕組み 選考関連のメールと求人情報から、書類で見られる点・頻出質問を企業ごとに蓄積する
選考支援(面接対策資料) AI・仕組み 企業の選考情報、経歴、面談メモを統合し、候補者×企業ごとの資料を作る
面接対策・クロージング(対話) 人 自分の言葉で話せているか。面接後の不安と迷いをどう回収するか
選考管理 AI・仕組み 結果メールを横断して読み、ステータス更新、面接確定のカレンダー登録、日次差分の共有
RA業務(新着応募・求人票) AI・仕組み 応募通知の取得と整形共有、公開情報からの求人票作成(人の承認ゲート付き)
最終意思決定 人 転職すべきか現職に残るべきかも含めた判断。候補者と企業双方の期待値調整

線引きは「合理はAIに、熱量と伴走は人に」の一行で整理しています。情報を集める、整理する、比較する、型に落とす、漏れなく追いかける。この合理の作業は、ほぼ全部渡せると考えています。

一方で、AIが出すのは仮説までと決めています。候補者の本音は断定させません。推薦コメントのオススメ度も、面接対策のポイントも、出てくるのは案です。人が関係性の中で検証し、最後に見てから候補者に渡します。この順番を崩すと、速いけれど信用できない出力が増えます。

承認ゲートの置き場所も固定しています。送信・公開・提出の手前で必ず止める形です。求人票の一括作成も下書き保存までで、公開は人の操作にしています。自動化の範囲を広げる話ではなく、どこで人が1回見るかを決める話だと捉えています。

実務5ステップ

ステップ1:工程を並べて、時間を食っている順に印をつける

候補者との出会いから成約まで、自社の工程を1枚に並べます。候補者獲得/初回面談の前後/求人マッチング/求人紹介/選考支援/選考管理/RA業務、くらいの粒度で足ります。

記録するのは、工程ごとの1件あたり所要時間と月の件数です。手触りの概算で構いません。あわせて「やるべきだが回っていない業務」にも別の印をつけます。

よくある失敗は、派手な工程から選ぶことです。最初に効くのは、全員がやるべきで誰もやりたくない工程でした。自社ではステータス更新がそれでした。更新漏れは候補者への連絡漏れに直結します。

ステップ2:一番成果を出している人の判断を言葉にする

その工程で成果を出している人に、判断の分岐を聞いて文書に残します。初回面談で最初に何を聞くか。どの候補者に、どの理由で、どの求人を推すか。お断りのときに何と伝えるか。

残すのは「何を話したか」ではありません。「何を見て、どう判断し、どう動いたか」です。うまくいった例と滑った例を、理由つきで並べて置きます。

よくある失敗は、きれいに書こうとして止まることです。箇条書きの断片からで十分だと考えています。

ステップ3:1工程だけ作って、承認ゲートを置く

印をつけた工程のうち、1つだけをエージェントにします。先に決めるのは入力と出力です。入力は面談メモ・職務経歴書・求人情報など。出力は「どこに、どの形で置くか」まで決めます。

記録するのは、出力をそのまま使えた割合と、人が直した箇所です。直した箇所はナレッジに戻します。戻した分だけ翌週の出力が変わります。

よくある失敗は、最初から全自動にすることです。1回の事故で現場の信頼が切れます。

ステップ4:運用の形に同期する

いつ・誰が・何を入力し・どこに出し・誰がレビューし・いつ更新するか。ここまで決めて、はじめて現場で回ります。日次で動くものは、結果がチャットツールに落ちる形にしています。

見るのは週あたりの使用回数です。使われていない工程は、理由を3択で聞きます。頼むのが面倒か、出力が信用できないか、置き場所が分からないか。

よくある失敗は、使われない原因を精度の問題と決めつけることです。自社では「頼む手間」が原因だった場面が何度もありました。

ステップ5:工程をつないで、依頼の入口を一つにする

工程が増えたら、前の工程の出力を次の工程の入力にします。依頼の入口も一か所に寄せます。自社ではスキルが増えた結果、「頼むのが面倒」が最大の壁になりました。入口を整えた途端に、作ったものが実際に使われ始めました。

見るのは、候補者1人あたりで人が手を動かす回数です。工程数ではなく、この回数で判断します。

よくある失敗は、1工程が回り切る前に全体をつなごうとすることです。流れていない水路をつないでも、水は流れません。スカウト周りの具体はスカウト運用の事例、面接対策の具体は面接対策の事例にまとめています。

つまずきやすい型

ツール選びから始めてしまう型

最初の一歩をツール比較に置くと、だいたい止まります。判断が言葉になっていなければ、どのツールでも下書き装置にしかなりません。先にやるのは自社の仕事の言語化です。言葉になっていれば、載せる先は何でも機能します。

全自動にしてしまう型

品質の担保を外すと、事故が1回起きた時点で現場が使うのをやめます。自社では求人票の作成に承認ゲートを置き、推薦コメントはオススメ度と文面を人が確認してから出しています。止める場所を決めておくほうが、結果的に任せられる範囲は広がります。

作って放置してしまう型

原因は、作った人以外に運用の形が共有されていないことです。対処は、1工程につき「誰が・いつ使う」を1行で決めることです。その1行が書けない工程は、まだ作る段階ではないと判断しています。

発言の記録で終わらせてしまう型

面談メモや商談メモを溜めるだけでは、出力は変わりません。必要なのは判断の分岐です。「この転職理由を危ないと見た理由」「この求人を出さないと決めた理由」まで書けているかで見ます。

削減時間だけで評価してしまう型

時短だけを指標にすると、効いている部分を取り落とします。自社で一番変わったのは、やるべきだが回っていなかった業務を全件やれるようになったことでした。面接対策資料がその代表です。評価軸には「実施率」も並べることをおすすめします。

体制・フェーズ別の進め方

体制・フェーズ 最初にやること 注意点
1〜3名の立ち上げ期 時間を食っている1工程だけを決める。多くの場合は求人探しか選考管理 全工程の地図を描く前に手が止まりがち。1工程が回ってから次に進む
10〜20名規模 成果を出している人の判断を言葉にし、工程別のナレッジとして置く 個人のツール活用に任せると品質が分散する。レビュー担当と更新日を決める
事業会社の採用チーム 候補者対応の記録と、面接官への情報共有を定型にする 候補者体験に触れる文面は人の確認を必須にする。送信前に止める設計にする

よくあるご質問

Q. どの工程から手をつけるのが良いですか?

「全員がやるべきで、誰もやりたくない工程」からをおすすめしています。自社では選考ステータスの更新でした。やりたくない工程は後回しになり、後回しは候補者への連絡漏れにつながります。逆に、面談での対話のように人の価値が出る工程は最後まで残します。優先順位の考え方はAI活用の優先順位の記事にも書いています。

Q. 社内にエンジニアがいなくても進められますか?

ステップ1と2は職種に関係なく進められます。工程を並べ、判断を言葉にする作業が全体の土台です。作る部分は外の力を借りる選択もありますが、何を任せ何を残すかの線引きは自社で決めたほうが良いと考えています。道具の選定より、先に言語化の順番を守るほうが効きます。

Q. AIを入れると候補者への対応が機械的になりませんか?

自社では逆方向に効きました。求人ごとの推薦理由や面接対策資料は、丁寧にやるほど重く、省略されやすい部分です。ここを仕組みに寄せたことで、全件に理由が書かれた状態で候補者に渡せるようになりました。文面は人が最後に見るので、機械的な出力がそのまま届くことはありません。

まとめ

次の一歩としては、自社の工程を1枚に並べて、工程ごとの1件あたり所要時間と月の件数をメモすることをおすすめします。あわせて「やるべきだが回っていない業務」に印をつけてください。この2つが揃うと、どの工程から任せるかの判断が、感覚ではなく記録でできるようになります。

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タグ:Claude CodeAIエージェント業務設計

Staneer株式会社 代表取締役 渡邉 拓哉

渡邉 拓哉Staneer株式会社 代表取締役

ITエンジニア、人材紹介のキャリアアドバイザー、企業の採用担当・人事責任者を経てStaneerを創業。現役で人材紹介事業を運営しながら、自社の業務にClaude Codeを組み込む実践を続けています。本ブログの記事は、その実践と社内ナレッジをもとに作成しています。 会社・代表について / noteの実践記事

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