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Claude Codeの使い方

自社の判断基準をClaude Codeのスキルに渡す手順(手順書と例でつなぐ)

公開日:読了目安:約8分執筆:Staneer株式会社 代表取締役 渡邉 拓哉

この記事の要点

対象
自社のやり方をAIに渡したい人材紹介会社の経営者・事業責任者・CA/RAマネージャー
できるようになること
1工程の手順書に判断基準と実例をつなぎ、更新が続くスキルの形に落とせる
必要なもの
対象にする工程を1つ、過去のやり取りの原文、判断の分かれ目を決められる人1名

「スカウト文を書いて」と頼むと、それらしい文章は返ってきます。ただ、自社のCA(キャリアアドバイザー)が書くものとは違う。この違和感から相談をいただくことが多いです。違いは文章のうまさではなく、何を見ているかと、迷ったときにどちらを取るかにあります。

弊社は社員2名とアシスタント、AIエージェントで年商1億円規模の人材紹介事業を回しています。業務の多くは Claude Code の「スキル」、つまり毎回同じ手順で動かすための指示書にしてあります。作ってきて分かったのは、使われるスキルと使われないスキルの差が、手順書・判断基準・実例が1本につながっているかどうかで決まる、ということでした。

この記事では、仕事の手順を手順書にし、判断基準と例をつないでスキルにするまでを、自社の運用のまま書きます。作ったあとの更新のしかたまで含めます。

なぜAIの出力が自社の判断と違うのか(3つの理由)

理由1:手順は書けても、分かれ目が書かれていない

多くの手順書は、やることの順番だけで終わっています。ところが現場の差は、順番ではなく分かれ目で出ます。年齢が募集目安を少し超えている求人を出すのか、落とすのか。リモート必須の候補者に一部出社の求人を見せるのか。ここが書かれていないと、AIは一般的な常識で埋めます。

理由2:判断基準が例とつながっていない

「候補者の志向を優先する」とだけ書いた基準は、読み手が自由に解釈できます。弊社では、ルール1本ごとに「どの事例でそう決めたか」を必ず添えています。基準と事例が離れていると、同じ基準から別の結論が出ます。

理由3:渡す前に要約してしまう

判断のクセは、本人が無駄だと思って落とす部分に残っています。やり取りを要約してから渡すと、自覚している判断しか出てきません。弊社も最初は整理してから渡していて、かえって出力が平たくなりました。貯めるときは原文のまま、探すときは整理した軸、と用途で分けるようにしています。

仕組みに任せる範囲と、人が決める範囲

工程 担当 内容
手順書の下書き AI・仕組み 過去のメモやメールの原文を読ませ、工程の流れを箇条書きに起こす
判断の分かれ目の言語化 人 迷ったとき何を優先するかを決める。候補が2つ残る場面を書き出す
例の収集と保存 AI・仕組み やり取りを要約せず、原文のまま日付つきで残す
ルールへの昇格 AI・仕組み+人 同じ判断が3件そろった時点で案を起こし、採否は人が見る
個人情報の置き換え AI・仕組み 個人名や企業名を属性表現に直し、機械検査で残存を見る
成果物を出すかの判断 人 候補者や企業に渡す前に、人が読んで直す

線引きの軸は、一次情報を取ってくる仕事は人に残す、という点にあります。企業との商談で面接官の本音を聞くのも、候補者から選考後の感想を丁寧に拾うのも、人しかできません。AIは集まった情報を編むところで強く、情報そのものを現場から取ってくることはできません。

もう1つの軸は、出てきたものを「材料」として扱うことです。スキルが返すのは仮説で、確定ではありません。マッチングはスキルが始めても、何を紹介するかは最後に人が見ます。頼むのは「作っておいて」まで、という線を変えないほうが、現場は安心して使えます。

逆に、同じ形で何度も繰り返す作業は、全部仕組みに寄せます。索引の更新、個人情報の置き換え、記録の追記は、人がやると最初に止まる工程です。止まる工程を人に残すと、スキルそのものが使われなくなります。

実務5ステップ

ステップ1:工程を1つ選び、「何を見るか」の順で手順を書く

はじめに対象を1工程だけに絞ります。弊社は、毎日手で触っている管理表に近い工程から始めるようにしています。手順は作業の順番ではなく、何を見るかの順で書きます。

見るものは、その工程で実際に開いている画面と記録です。記録するのは、使う情報の置き場所と、出力の形(誰に渡す何か)です。よくある失敗は、面談の進め方のように幅の広い工程から入ることです。範囲が広いと分かれ目が多すぎて、書き切る前に止まります。

ステップ2:判断の分かれ目を、番号つきのルールにする

手順を書くと、「ここは人によって違う」という箇所が残ります。そこを1つずつ、番号を振ったルールにします。弊社のマッチングの判断基準は、年齢の扱い、年収の下限、リモートの強さ、といった分かれ目ごとに連番で並べてあります。

ルールには、除外するのか順位を下げるのかまで書きます。あわせて例外も書きます。よくある失敗は、きれいな原則だけを並べることです。「候補者の志向を尊重する」では、同じ場面で毎回違う答えが出ます。

ステップ3:ルール1本ごとに、実例と「どう直したか」を添える

ルールの下に、そう決めるに至った事例を置きます。弊社は「事象」「ルール」「設定にどう反映したか」の3点セットで書いています。例えば、年齢目安を超えた求人が上位に混ざって評価が下がった、という事象があり、そこから上位グループには混ぜず別枠で出す、という形に直しました。

記録するのは、評価が低かった理由の内訳です。属性表現(30代後半・大手SIer出身など)に直して残します。よくある失敗は、良かった例だけを集めることです。外した理由のほうが、ルールとしては効きます。

ステップ4:スキルの冒頭に「毎回読むファイル」を1〜2本だけ指定する

スキルの先頭に、実行前に必ず読むファイルを指定します。弊社のマッチングのスキルは、冒頭で共通の判断基準を1本だけ読み、候補者の軸を見てから該当する軸別の基準を1本だけ追加で読む作り方にしています。

見るのは、読ませているファイルの量です。全部読ませると、肝心の指示が薄まります。よくある失敗は、ナレッジが増えたときに読む対象を足し続けることです。共通で毎回読むもの、場面ごとに1本だけ読むもの、普段は読まない記録置き場の3つに分けると持ちこたえます。

ステップ5:評価を記録し、3件そろったものだけルールに上げる

出てきた結果に、よい・ふつう・外れの評価をつけて記録します。記録先はルール本体ではなく、別のログにします。同じ判断が3件以上そろったものだけを、ルールに昇格させます。1件で直すと、個人の好みがルールになります。

更新のときは、置いた場所の索引も直します。弊社はフォルダの一覧と全体索引の2か所を更新し、そのファイルを読む側(スキル、社内アプリ、発信の素材リスト)に登録するところまでを1セットにしています。読む側に登録していないナレッジは、書いても届きません。

つまずきやすい型

全部読ませてしまう型

判断基準を1ファイルに書き足し続けると、いずれ長さが限界に当たります。弊社は、判断基準の正本が大きくなった時点で、共通ルール・場面別テンプレ・評価ログの3つに分けました。中身は消さず、読む範囲だけを変えるのが要点です。

要約して渡してしまう型

きれいに整理したメモを渡すと、出力も平均的になります。判断のクセを貯める用途では、やり取りの原文をそのまま残します。一方で、求人検索のように速さと精度が要る用途では、CAが優先順位をつけた軸だけを渡します。弊社は順位をつけずに回して、どの条件も同じ重みになり崩れた経験があります。

一般論で埋めてしまう型

汎用的な想定問答や職種解説は、いまは候補者本人がAIに聞けば出てきます。同じものを清書して渡しても差は出ません。価値が出るのは、商談で聞いた話、過去の選考の通過・見送りの理由、企業からの指摘といった一次情報を渡したときです。

作って置いたままにする型

スキルは作った日が最高点ではありません。評価を記録する場所と、昇格の基準(3件)を決めておかないと、気づいたときには現場の判断とずれています。更新の入口を手順に埋め込むところまでが、作る作業の一部です。

実名のまま入れてしまう型

ナレッジに個人名や在籍企業の実名を残すと、あとから直せなくなります。弊社は、写すときに年代・性別・業種・規模の表現へ置き換え、仮名は使いません。仮名は実名と区別がつかず、二次的に漏れる元になります。

体制・フェーズ別の進め方

体制・フェーズ 最初にやること 注意点
1〜3名の紹介会社 毎日手で触っている管理表に近い1工程だけをスキルにする 面談や提案まで一度に広げない。記録が貯まる順に進める
10〜20名規模 判断基準の正本を1ファイルに決め、全スキルからそこを読ませる スキル本文と正本がずれたら正本を優先する。更新の担当を1名決める
事業会社の採用チーム 書類の通過・見送り理由をルールと実例の形で残す 面接官ごとの違いは例として残し、平均値に丸めない

少人数ほど、工程を絞る効果が大きいです。弊社も、面接対策やマッチングのように後から大きくなった仕組みは、最初は1工程のスキル1本から始めています。

規模が10名を超えると、同じ場面で人によって答えが違う状態が表に出ます。先に正本を1つ決めて、迷ったらそこを見る形にしておくと、議論が「誰が正しいか」ではなく「ルールをどう直すか」になります。AI導入の優先順位の付け方は最初にAI化する業務を選ぶ手順でも整理しています。

よくあるご質問

Q. 手順書はどのくらい細かく書けばよいですか?

要約で終わらせず、「何を見るか」「なぜ見るか」「どう判断するか」「どんなときにNGか」「どの行動につながるか」「事例」まで書くのを基準にしています。この6つが埋まっていれば、スキルから読ませても解釈がぶれません。逆に、概要だけの手順書は、AIに渡しても一般論を補われて終わります。1ファイル1テーマにして、長くなったら分けるほうが扱いやすいです。

Q. 判断基準がメンバーごとに違うときはどうしますか?

まず、会社として揃える基準と、個人のやり方として分けるものを切り分けます。弊社は、マッチングの判定や選考の線引きは会社の正本として1本にし、返し方や言い回しは担当ごとに別管理にしています。言い回しまで統一しようとすると、作業が止まります。スキル本文と正本に齟齬が出たときは、正本側を優先する、と先に決めておくと運用が楽です。

Q. 個人情報は実名のまま入れてはいけませんか?

実名でも属性表現でも、返ってくる答えは変わらないのが実感です。手間の面でも、置き換え自体はAIに任せられます。そのうえで、万一外部から入られたときに出る情報を減らせるので、弊社はナレッジに写すときだけ属性表現に直しています。原本は元の場所に残すので、必要なときは照合できます。

まとめ

次の一歩は、1工程を選び、直近で「人によって答えが違った場面」を3つ書き出すことです。そこが、最初にルールにすべき分かれ目です。弊社も、スキルが賢く見えるとすれば、それはスキルの作りではなく、裏にある手順と判断基準が揃っていたからでした。進め方の相談先が必要な場合はAI導入・内製化支援もご覧ください。

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タグ:Claude Codeナレッジ化判断基準業務設計

Staneer株式会社 代表取締役 渡邉 拓哉

渡邉 拓哉Staneer株式会社 代表取締役

ITエンジニア、人材紹介のキャリアアドバイザー、企業の採用担当・人事責任者を経てStaneerを創業。現役で人材紹介事業を運営しながら、自社の業務にClaude Codeを組み込む実践を続けています。本ブログの記事は、その実践と社内ナレッジをもとに作成しています。 会社・代表について / noteの実践記事

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