書類選考の通過・見送り基準を言語化する手順(紹介会社と目線を揃える)
紹介会社から来る推薦が毎回少しずつズレる、という採用担当の方へ。必須要件の絞り方、丸・三角・バツの一次判定の置き方、見送り理由の返し方、基準の更新までを、自社で人材紹介とRAを運営している立場から5ステップで整理しました。
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この記事の要点
「カジュアル面談は和やかに終わったのに、その後の選考に進んでもらえない」。採用担当の方から、よくお聞きする話です。面談の雰囲気が悪かったわけではなく、限られた時間の使い方が会社説明に寄っていることが多いと考えています。
弊社では、クライアント企業の選考を支援する立場と、自社のメンバーを採用する立場の両方で面談を重ねてきました。代表は前職で転職希望者との面談4,000名以上、入社支援500名以上を担当しています。そのうち、候補者支援とは分けて自社採用の記録として残した面談6件を読み直すと、職種が違っても見ていたサインは同じでした。エンジニア、社内SEやバックオフィス経験者、ベテランエンジニアのやりがい再探索と、論点はばらばらです。それでも共通点がありました。
この記事では、その共通点を「選考ではない面談の進め方」として整理します。何を話すか、何を記録するか、どの進め方を避けているかの順に書きます。
面談の前半が会社紹介資料の読み上げになっていて、候補者が質問するのは最後の5分だけ、という状態になっていないでしょうか。志望度が動かない面談には、だいたい次の3つのどれかが起きています。
会社概要は説明できても、主力プロダクト、事業モデルと収益構造、競合との違い、設立の背景、MVV、成長のストーリーまでは言葉になっていないことがあります。弊社ではハイレイヤー候補者に提案するとき、この6点を企業理解の観点として先に揃えるようにしています。
ここが出てこないと、候補者の感想は「良い会社そう」で止まります。志望度は会社の良さではなく、「自分がこの会社で何を解くのか」が見えたときに動きます。採用理由と解いてほしい経営課題は、選考が進んでから話す内容ではなく、最初の面談で出す内容だと考えています。
弊社が自社のメンバーを採用するときは、1回目のスクリーニングを経営側が持ち、業務内容の説明と意向上げは配属先の現場メンバーに頼む形にしています。評価する人と、働くイメージを渡す人を分ける進め方です。
1人が両方を同時に担うと、候補者は評価される側の位置に固定されます。すると質問が出ません。質問が出ない面談では、候補者の不安がどこにあるかも分からないままになります。
面談直後に候補者が何を良いと思い、何が気になったかは、放っておくと残りません。弊社では面接が終わったら当日か翌朝に、志望度・よかった点・気になった点・面接官の印象・次の選考に進みたいか、の5項目を候補者から集めて企業へ渡しています。気になった点を伏せないのが前提です。
この材料がないと、2回目の接点で何を話すかを決められません。結果として同じ会社説明をもう一度することになり、回数だけが増えます。
| 工程 | 担当 | 内容 |
|---|---|---|
| 面談前の企業情報の整理 | AI・仕組み | 主力プロダクト、事業モデル、競合との違い、設立背景、MVV、成長ストーリーを1枚に揃える |
| 役割の下書き | 仕組み(定型フォーム) | 採用理由、ミッション、90日成果、KPI、決裁権、チーム、経営との分担を項目で埋める |
| 候補者ごとの質問づくり | AI・仕組み | 職務経歴から、確認すべき転職理由・技術の深掘り・役割期待の仮説を出す |
| 面談の時間配分 | 仕組み(型) | 活動状況→現職との役割差→経歴と成果→役割の具体→条件→次回、の順を固定する |
| 熱量の読み取り | 人 | 熱量が上がった瞬間と、言葉が抽象化した瞬間の差を見る |
| 役割をどこまで渡すかの決定 | 人 | 決裁権、予算、KPIのどこまでを本人に持たせるかを決める |
| 次の接点か見送りかの判断 | 人 | 追加で確認したい点を整理し、次選考か見送りかを決める |
| 面談後の所感の回収と保管 | 仕組み | 5項目の定型で集め、会社ごとの記録に先頭から足していく |
情報を集めて並べる工程は、やるかやらないかの差が大きく、人の判断がほとんど入りません。弊社ではクライアント企業に関するメールを週1回まとめ、選考の経過・面接官の情報・事業や採用方針の変化を、企業ごとのページの先頭に足す運用を自動で回しています。人が指示したときだけ更新する形をやめたのは、間が空くと取りこぼしが出ていたからです。どの工程から仕組みにするかの考え方は最初にAI化する業務を選ぶ手順にまとめています。
一方で、面談の中で何に熱量が上がったかは、仕組みでは判定できません。弊社が記録した6件の面談でも、見ていたのは「本人の熱量が上がる瞬間と、言葉が抽象化する瞬間の差」でした。同じ質問に対して、具体的に語り出すところと、一般論に逃げるところの境目です。これは面談に出ている人しか拾えません。
役割をどこまで渡すかも、人が決める側です。決裁権、予算、KPIの線は経営の判断であり、面談の場で担当者が約束できる内容ではありません。だからこそ、面談前に線を引いておく必要があります。
何をするか。1回の面談を「見極め」と「意向上げ」のどちらに置くかを先に決めます。両方必要なら、進行と会社説明を担当者が持ち、業務の中身と働くイメージは配属予定のメンバーが途中から入る形にします。
見るもの・記録するもの。配属先はどこか、現場のメンバーが面談に出られるか。この2点が決まらないと役割分担は組めません。
よくある失敗。両方を1人で抱えること。そして現場メンバーに「顔合わせ程度で」と頼んでしまうことです。弊社では現場に依頼するときも、業務説明と意向上げ、懸念点の確認までを頼むようにしています。
何をするか。役割を項目で書き出します。弊社がハイレイヤーの採用で使っているのは、採用理由、ミッション、90日成果、半年・1年成果、KPI、P/L、決裁権、予算、チーム、他部門との役割分担、経営との分担、戦略変更時の再合意手順の12項目です。
カジュアル面談で全部は話しません。先の5つ、採用理由・ミッション・90日成果・KPI・決裁権だけに絞ります。候補者が知りたいのは「入って最初の3か月で何を任されるか」と「自分で決められる範囲はどこか」だからです。
見るもの・記録するもの。肩書きではなく責任範囲で書けているか。EM、VPoE、事業責任者といった呼び方は会社ごとに意味が変わるため、組織人数、採用責任、評価責任、技術方針、事業KPIへの関与のどこまでを持つのかを書き分けます。
よくある失敗。「裁量があります」「幅広く任せます」で止めること。これは候補者には何も伝わりません。
何をするか。45分なら、はじめの5分で転職活動の状況と時期、次の7分で現職の役割と期待のずれ、そこから10分強で経歴と出した成果、24分あたりから役割の具体、残りで条件と次回の話、という配分にしています。会社説明はこの流れの中に混ぜます。
見るもの・記録するもの。入社時に何を期待されていたか、実際の職務はどうだったか、制約の中で何を作ったか。この3つを分けて聞きます。会社批判だけで終わらせず、本人の学びまで聞くのがポイントです。
よくある失敗。冒頭から会社説明を始めること。先に説明すると、候補者は自分の話を会社の説明に寄せてしまいます。弊社が面談で見ているサインの1つは「候補者の発話が条件、職種名、会社名に寄っていないか」です。先に説明すると、このサインが読めなくなります。
何をするか。面談中に気づいた差を、その場でメモに書きます。弊社の6件の記録では、見るサインを3つに絞っていました。発話が条件や職種名、会社名に寄っていないか。熱量が上がる瞬間と言葉が抽象化する瞬間の差。そして次に確認すべき不安、制約、求人への反応が残っているか。
見るもの・記録するもの。経歴、転職理由、技術や役割への期待、会社理解の4つがつながっているか。つながっていない箇所が、次の面談で聞く内容になります。
よくある失敗。評価の結論だけをメモに残すこと。「良さそう」「少し弱い」だけでは、次に誰が何を話せばよいかが決まりません。
何をするか。面談が終わったら当日か翌朝に、志望度・よかった点・気になった点・面接官の印象・次の選考に進みたいか、の5項目を候補者から集めます。紹介会社経由なら、担当者に同じ型で依頼します。弊社では候補者の記入をそのまま渡し、懸念もぼかさないようにしています。
見るもの・記録するもの。気になった点は、否定としてではなく「次に解消できる要望」の形に置き換えます。「現場のメンバーに会ってみたい」のような形です。そのまま次の接点の中身になります。
よくある失敗。接点の回数だけ増やすこと。回を重ねる効果は、毎回の中身が変わるときにだけ出ます。弊社の代表が人事責任者だったときは、面談を複数回に分け、はじめは価値観や働き方の話から入り、回を追って業務の具体へ深めていました。あわせて、面談のあとに「話しきれなかったことはないか」と一声かける運用も続けていました。候補者からは、回を重ねるほど話しやすくなったという声が返ってきています。面接のポイントや面接官の情報を揃えて候補者に渡す進め方は面接対策の事例にまとめています。
資料があると、全部話したくなります。起きる理由は、面談の目的が「会社を知ってもらうこと」に置かれているからです。対処は、資料を事前に渡し、面談では「この採用で、経営として最も解きたい課題」から入ることです。
「将来の事業責任者候補です」と伝えて終わる型です。肩書きが高いことと、職務・権限・成果責任が広いことは別だと考えています。対処は、持つKPI、使える予算、決められる優先順位、チームの人数を数えられる形で話すことです。
現場メンバーに同席を頼むとき、「軽く話すだけで大丈夫」と伝えてしまう型です。起きる理由は、依頼する側が意向上げを仕事として言語化していないからです。対処は、業務の中身の説明と、懸念点の確認までを明示して頼むことです。
課題を隠すと、候補者は入社後に同じ課題に当たります。起きる理由は、弱みを見せると辞退されると考えるからです。弊社では自社採用でも、待遇の弱い部分は隠さず、昇給や役割の見通しを書いて先に不安を消す形をとっています。対処は、課題を「解いてほしいこと」として出すことです。
その場で判断を出そうとする型です。弊社の面談記録では、次アクションを「追加で確認する事項を整理し、次選考または見送り判断につなげる」としていました。1回で決めず、何を確認すれば決まるのかを決める。これが面談の成果物だと考えています。
| 体制・フェーズ | 最初にやること | 注意点 |
|---|---|---|
| 採用担当が1名の事業会社 | 募集中のポジションごとに、採用理由・90日成果・KPI・決裁権の4項目だけ1枚に書く | 1人で見極めと意向上げを兼ねる前提になるため、面談を2回に分けて役割を回ごとに変える |
| 人事チームと現場面接官がいる事業会社 | 面談の回ごとに「見極め」「意向上げ」のどちらかを割り当て、担当を固定する | 同じ説明が複数回繰り返されやすい。前回何を話したかを記録に残し、次回は別の中身を渡す |
| 紹介会社経由の採用が中心の企業 | 面談後の所感を5項目の定型で返してもらうよう、紹介会社に依頼しておく | 選考が長引くほど現職に残る気持ちが強くなる。残りの面接回数と日程を早めに共有する |
少人数の体制では、面談の型を増やすより先に、ポジションごとの1枚を作るほうが効きます。書き出す項目は4つで十分です。これがあると、誰が面談に出ても同じ中身を渡せます。
チームがある場合に起きやすいのは、回ごとの重複です。候補者からすると、3回とも同じ会社説明を聞くことになります。前回の記録を見てから次の面談に入る運用を作ると、ここは解消できます。
紹介会社が入る場合は、所感の型を先に決めてしまうのが早いと考えています。志望度と懸念が毎回同じ形で返ってくると、次の面接で誰が出て何を話すかを企業側で設計できます。
聞いてよいと考えています。弊社の自社採用でも、カジュアルな枠の面談で経歴、転職理由、技術や役割への期待、会社理解のつながりを確認しています。ただし、合否をその場で判断する場にはしません。目的は「次に何を確認すれば決められるか」を決めることです。選考ではないと伝えたうえで、深掘りはする。この2つは両立します。
課題は弱みではなく、採用の理由そのものだと考えています。解きたい課題がないなら、そのポジションは必要ありません。候補者が知りたいのは「自分が入って何が変わるのか」です。弊社では自社の採用でも、待遇の弱い点を隠さずに伝え、そのうえで昇給や役割の見通しを書き添えて不安を先に消す形をとっています。課題を出すと、熱量のある人が残ります。
型を決めて依頼すると、かなり素直な内容が返ってきます。弊社では志望度が低いときや辞退のときも、そのまま企業へお渡ししています。隠すと、企業側が次の面接で打つ手を間違えるからです。返ってきた懸念に対して企業から払拭の材料をいただき、それを候補者に戻す。この往復が、志望度を動かす一番大きな要素だと感じています。
まず記録するのは、直近の面談3件分の所感です。志望度と、気になった点の2項目だけでかまいません。3件並べると、自社の面談で候補者がどこに引っかかっているかが見えます。採用の打ち手は、企業だけが得をする形ではなく、候補者にとっても判断材料が増える形にするのが前提だと考えています。弊社ではこの考え方を採用心理と呼び、企業と候補者の双方が納得できるマッチングの設計として扱っています。
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