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採用・選考(事業会社向け)

人材紹介会社に求人を依頼するときに渡す情報(必須条件と内定しやすい人物像で分ける)

公開日:読了目安:約8分執筆:Staneer株式会社 代表取締役 渡邉 拓哉

この記事の要点

対象
人材紹介会社に求人を依頼する事業会社の採用担当と、求人を預かる紹介会社のRA・マネージャー
できるようになること
必須条件・歓迎条件・内定の可能性が高い人・見送り理由を分けて渡し、推薦が動く求人票にできる
必要なもの
現在の求人票、直近の内定者と見送り者の記録、紹介会社に返した見送り理由の文面

人材紹介会社に求人を依頼したのに、推薦がなかなか来ない。来ても書類で見送りが続く。そうした状態になっていないでしょうか。

私たちStaneer株式会社は、紹介会社として企業から求人をお預かりする側にいます。求人票は他社のキャリアアドバイザー(CA)にも共有します。届いた応募は一次判定してから企業に推薦しています。その中で、推薦が動く求人と止まる求人の差は、渡される情報の分け方にあると感じています。

この記事では、依頼時に渡してほしい情報を4つに分けて整理します。「必須条件」「歓迎条件」「内定の可能性が高い人」「見送り理由」です。事業会社の採用担当の方にも、求人を受け取るリクルーティングアドバイザー(RA)の方にも使える形で書きます。

なぜ推薦が動かない求人が生まれるのか(3つの理由)

理由1:必須条件と歓迎条件が混ざっている

求人票の「応募時の必須条件」に、あったらうれしい経験まで並んでいることがあります。紹介会社が書類の段階で見ているのは、主に2点です。スキルが合っているか、想定している経験年次・年齢層に合うかです。書類で見送る基準の中心は「必須条件を満たしていないこと」にしています。

そのため、必須欄の条件はすべて足切りの線として読まれます。歓迎のつもりの条件が必須に紛れると、推薦できる人が一気に減ります。逆に「歓迎」と書かれた条件は、限定ではないと読むのが私たちの運用です。

理由2:「どんな人なら内定が出るか」が書かれていない

求人票には、必須条件とは別に「内定の可能性が高い人」を書く欄があります。ここが空欄の求人や、必須条件の言い換えになっている求人は少なくありません。

紹介会社が推薦の優先順位を決めるときに頼りにするのが、この欄です。過去にどんな人がフィットし、どんな人が合わなかったか。既存社員で活躍しているのはどんな人か。こうした情報は求人票の定型項目には出てきません。商談で聞かない限り、紹介会社の手元には残りません。

理由3:見送り理由が紹介会社に戻ってこない

見送りの理由が「総合的な判断」だけだと、紹介会社は次の推薦を直せません。同じ型の候補者を、また推薦してしまいます。

私たちはRAとして、他社CAにお見送り理由を具体的に返すようにしています。ポジティブな点だけでなく、あえてネガティブな理由も伝えます。そうすると「こういう人は合わない」という解像度が上がります。次の推薦の精度も変わります。企業から紹介会社への返し方も、同じ構造だと考えています。

仕組みに任せる範囲と、人が決める範囲

工程 担当 内容
求人票の項目の下書き AI・仕組み 採用ページの一次情報から職種・仕事内容・勤務条件・年収例を起案する
同じ会社の求人の共通部分 AI・仕組み 理念・社風・勤務条件・選考フローを雛形にし、求人ごとの差分だけ書き換える
応募の一次判定 AI・仕組み 必須条件と経験年次の合致で丸・三角・バツと理由一言を付ける
選考結果の振り分け AI・仕組み 企業からの結果をお見送り・通過・結果待ちに分けて記録する
必須と歓迎の線引き 人(企業の採用担当) 満たさなければ書類で落とす条件だけを必須に残す
内定の可能性が高い人の言語化 人(企業と紹介会社の商談) 採用背景、現場が本当に欲しい人、過去に合った人・合わなかった人を話す
推薦するかの判断と求人タイトルの訴求 人(紹介会社) 一次判定で割れたもの、情報不足のものを人が読んで決める
内定を出すかの判断 人(企業) 内定の可否は企業が決める

線引きの基準は、一次情報から転記・整理できるかどうかです。職種や勤務条件、年収例は採用ページに書かれています。ここは下書きまで仕組みに任せています。そのうえで、私たちが全項目に目を通して直す運用です。応募の一次判定も、決まった観点を毎回同じ目線で当てる作業なので、仕組みに寄せています。

一方で、必須と歓迎の線をどこに引くかは、採用ページのどこにも書かれていません。内定が出る人の姿も同じです。なぜいま採用するのか。事業にどんな事情があるのか。本当に欲しい人物像の本音は何か。これらは採用担当と腹を割って話さないと出てきません。私たちは「合理はAIに、熱量と伴走は人間に」という線引きで、ここを人の仕事として残しています。

もう1つ、内定を出すかどうかは企業が決めるものだと考えています。紹介会社の役割は、内定の見込みと候補者の志望度を上げる動きを主導することです。そのための材料が、この記事で整理する情報です。

実務5ステップ

ステップ1:必須条件を「書類で落とす条件」だけに絞る

何をするか。必須欄の条件ごとに「これを満たさない人は書類で見送るか」と問いかけます。見送らないものは歓迎条件に移します。

見るもの・記録するもの。経験は「〇〇の実務経験〇年以上」のように年数で書きます。紹介会社は、この年数を候補者の実務年数と突き合わせます。「経験者」とだけ書かれていると、判断がぶれます。

よくある失敗。理想の人物像をそのまま必須に書いてしまうことです。書類見送りが集中する企業には、紹介会社が推薦自体を控える判断をすることもあります。

ステップ2:歓迎条件を分けて、優先順位を付ける

何をするか。必須から外した条件を歓迎条件にまとめます。重要な順に上から並べます。

見るもの・記録するもの。「書類で有利になるもの」と「面接で評価が上がるもの」を分けて書きます。紹介会社が推薦文で何を強調するか決めやすくなります。

よくある失敗。歓迎条件を必須と同じ書き方で並べることです。「歓迎」の2文字がないだけで、足切り条件として読まれます。

ステップ3:内定した人・活躍している人の共通点を書く

何をするか。「内定の可能性が高い人」の欄に、過去の内定者や活躍している社員の共通点を書きます。スキルだけでなく、前職の環境や仕事への向き合い方まで書けると、推薦の精度が上がります。

見るもの・記録するもの。見るのは3つです。直近の内定者の経歴の共通点、入社後に活躍している人の傾向、合わなかった人の傾向です。新しいポジションで実績がなければ、近い職種の社員の傾向で代えます。

よくある失敗。必須条件の言い換えを書いてしまうことです。「〇〇経験がある方」と書くと必須欄と情報が重なります。紹介会社が優先順位を付けられません。

ステップ4:求人票に載らない「紹介会社向けの情報」を渡す

何をするか。求人票とは別に、次の情報を共有します。書類選考で見ているポイント、人事からの伝達事項、一次面接と最終面接で見られることとよくある質問です。

見るもの・記録するもの。経営者の採用背景、求人票に出ないカルチャー、面接で懸念になりやすい点です。私たちの推薦文は、候補者の人柄・転職理由・希望年収を中心にまとめる型にしています。企業が転職理由で何を気にするかが分かると、推薦文の焦点が合います。推薦文の考え方はこちらの記事でも書いています。

よくある失敗。面接の観点を「人物重視」の一言で済ませることです。どの面接で、誰が、何を確かめるのか。そこまで分かると、紹介会社は候補者に面接対策を入れられます。

ステップ5:見送り理由を具体的に返し、傾向を求人票に戻す

何をするか。書類や面接で見送ったときは、理由を具体的に紹介会社へ返します。ネガティブな理由も、そのまま伝えてもらうほうが次の推薦に生きます。

見るもの・記録するもの。見送り理由を「必須未充足」「経験年次が合わない」「志向が合わない」などで分類します。たまってきたら傾向を見ます。同じ理由が続くなら、必須条件か「内定の可能性が高い人」の書き方を見直します。

よくある失敗。見送り理由を記録するだけで、求人票に戻さないことです。求人票が依頼時のままだと、同じ見送りが繰り返されます。

つまずきやすい型

必須条件に希望を全部詰めてしまう型

起きる理由は、現場の採用要件を整理せずに転記するからです。現場の「欲しい」と、書類で落とす条件は別物です。対処として、ステップ1の問いを現場の責任者と一度だけ一緒に通してもらっています。

「内定の可能性が高い人」を空欄で出してしまう型

起きる理由は、求人票を作る時点で、採用担当が過去の内定者の情報を手元に持っていないからです。対処として、商談で「直近で内定を出した人はどんな人でしたか」と私たちから聞いています。分かっている範囲で書いてもらえれば十分です。

見送り理由を「総合的に判断」で返してしまう型

起きる理由は、候補者への配慮や、言語化の手間です。ただ、紹介会社は理由を次の推薦の判断材料に使います。具体的な理由がないと、同じ型の候補者を推し続けてしまいます。対処として、まずは分類だけでも返してもらう形を提案しています。

求人票を依頼時のまま更新しない型

起きる理由は、求人票づくりを「募集開始時の作業」と捉えているからです。見送りが続く、内定者の傾向が変わる。こうした変化は、求人票に戻すまで紹介会社に届きません。対処として、見送り理由の傾向を見たときに2つの欄だけ見直すようにしています。必須条件と「内定の可能性が高い人」です。

体制・フェーズ別の進め方

体制・フェーズ 最初にやること 注意点
少人数の紹介会社 求人を預かる商談で、必須と歓迎の線引きと直近の内定者像を必ず聞く 求人票の共通部分は雛形化し、商談の時間を確保する
10〜20名規模の紹介会社 RAが聞いた「内定の可能性が高い人」と見送り理由を、CAが読める形で残す RAとCAで情報が分断されると、推薦の質が揃わない
事業会社の採用チーム(初めて依頼する) 必須条件を「書類で落とす条件」だけに絞ってから依頼する 現場の要望をそのまま必須にしない
事業会社の採用チーム(複数職種を依頼する) 共通部分と求人ごとの差分を分けて渡す タイトル・職種・給与・必須条件・内定の可能性が高い人は求人ごとに書く

よくあるご質問

Q. 必須条件を絞ると、合わない人の推薦が増えませんか?

一時的に推薦の数は増えると思います。ただ、私たちは必須条件と経験年次で一次判定をかけてから企業に推薦しています。合わない応募は、その段階で外れます。それでも合わない推薦が続く場合は、見送り理由を具体的に返していただけると、次からの推薦が絞られていきます。

Q. 新しいポジションで、まだ内定者がいない場合はどう書けばいいですか?

近い職種で活躍している社員の共通点を書いていただくのが現実的です。あわせて、なぜいまこのポジションを採用するのか、背景を共有してもらえると助かります。紹介会社はそこから人物像を補えます。最初は情報が薄くても、見送り理由がたまってきた段階で書き足していけば問題ありません。

Q. 複数の求人を依頼するとき、全部に同じ量の情報が必要ですか?

同じ会社の求人なら、理念や社風、勤務条件、選考フローの多くは共通です。求人ごとに変わるのは5つ程度だと考えています。タイトル、職種、給与、必須条件、内定の可能性が高い人です。共通部分は1回まとめて渡し、差分だけ求人ごとに書いていただくと、紹介会社も漏れなく求人を立ち上げられます。

まとめ

次の一歩として、直近で見送った候補者の理由を、紹介会社に返した文面のまま書き出してみてください。「総合的に判断」で止まっているものが何件あるかを数えます。それだけで、どの欄から直せばよいかが見えてきます。

タグ:求人票採用要件人材紹介

Staneer株式会社 代表取締役 渡邉 拓哉

渡邉 拓哉Staneer株式会社 代表取締役

ITエンジニア、人材紹介のキャリアアドバイザー、企業の採用担当・人事責任者を経てStaneerを創業。現役で人材紹介事業を運営しながら、自社の業務にClaude Codeを組み込む実践を続けています。本ブログの記事は、その実践と社内ナレッジをもとに作成しています。 会社・代表について / noteの実践記事

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